2015年7月6日、特許庁は地域団体商標にまつわる説明を掲載した「地域団体商標と地理的表示(GⅠ)の活用Q&A」を発表した。(参照:特許庁が音商標の公開商標公報を発行

「地域団体商標」制度と「地理的表示(GⅠ)」制度の両制度の相違点や留意点をわかりやすくまとめてある。「地域団体商標」制度は地域ブランドの名称を商標権として登録し、商標権者が独占的に使用できる制度となっている。

対象となる商品やサービスは農産物などに限定されず、すべての商品やサービスを申請・登録することが可能だ。また、必ず「地域名」プラス「商品あるいはサービス名」となっていることが前提となっている。

一方、「地理的表示(GⅠ)」制度は農林水産物の名称を保護することを目的とした制度となっている。つまり、農産品のような農林水産物に限定されているのが特徴だ。また、地域が特定可能な場合は地名が含まれていなくても申請・登録することができる。

今回配布されるQ&Aでは、費用条件やメリット・留意点などをまとめてあり活用できることとなっている。

地理的表示機能(GⅠ)は、地域の気候、風土、土壌等によって長年にわたって培われ、高い品質を有すると評価されるに至った産品の名称を、知的財産として保護する制度のことであります。この制度は、農林水産省が管轄し、今年の6月から申請受付けが始まりました。

地理的表示機能の特徴は、地域団体商標とは異なり、特定の団体に排他的独占的な名称の使用権を与えるものでないために、申請手続が簡単なことです。

また、手数料も申請時に9万円/1件を支払えば、その後一切費用がかからないので、地域団体商標登録に比べ、料金が割安になります。その一方、地理的表示の申請団体の構成員に対しては、品質維持のために生産工程管理業務が割当てられます。

ところで、独占的排他的使用権がないのに、どうやって名称使用権が守られるのかというと、地理的表示の不正使用に対して、国が取締りを行うことになっています。その意味では、不正使用に対しては訴訟を起こさないと対応できない地域団体商標権よりは、名称使用権の不正使用に対する対応が容易だと言えます。

地域団体商標は「出所表示機能」に強みを持つ一方、地理的表示は「品質保証機能」強みを持つと言えます。今後、生産者は、双方の特徴をよく理解した上で、生産者の状態によりよく適合する知財制度を利用することができるようになります。