2020年9月22日、欧州中央銀行(ECB)は「デジタル・ユーロ」を商標出願した。今後の新しい金融システムとして期待が集まっている。商標の出願先は欧州連合知的財産庁となっている。 (参照:ワークポート、転職サービス「U29JOB」「ユニークジョブ」「みんスク」を商標登録

「デジタル・ユーロ」とは、中央銀行発行デジタル通貨(CBDC)の名称と思われている。ビットコインなどの暗号資産に変わる次世代通貨として検討されているものの、欧州連合で承認はされていない。欧州中央銀行のラガルド総裁はこのCBDCを検討していることを認め、まもなく判断を下すと述べている。

今回の商標出願は、「コンピュータのハードウェア、ソフトウェア等」「金融、貨幣、銀行サービス」「プログラミングサービス」「電子商取引の分野におけるユーザー認証サービス」の4項目にわたっている。こうしたテクノロジーを駆使して、資産の転送をプライバシーを保持しながら行えるとしている。

CBDCはECBだけでなく、中国、フランス、ブラジルなど世界各国で導入が検討されている。

日本円やUSドルなどの本物の通貨であれば、偽物を作ったり、流通させたりする者を、通貨偽造罪や偽造通貨等行使罪で罰することができます。しかし、デジタル通貨はまだ正式な通貨として承認されていませんので、通貨に関する法律によって、偽造者を処罰することができません。

そこで、それに代わり、商標登録をすることで、そういったものを排除する暫時の策が採用されています。

商標制度で保護できる範囲はネーミング等に限られますが、ネーミングの第三者の使用を禁止するだけで、第三者の偽造(模倣)は意外と広い範囲で制限されます。これと、デジタル通貨を生成する技術自体を特許権などで保護すれば、第三者による偽造の大部分は排除できるでしょう。

デジタル通貨は、今後ますます普及していくと予測されますが、こういった分野でも知財制度が活用されています。