2021年3月2日、政府は特許庁関連7法案を閣議決定した。今後、開会中の国会に提出されることとなっている。 (参照:特許庁、商標法の一部 国際基準に準ずる改正

今回の7法案には、特許法、商標法など知的財産権関連の法案が含まれ、新型コロナ感染症を契機にデジタル化、リモートワークなど様変わりした経済活動に対応した改正となっている。

特許法や商標法において、当事者の出廷が必要とされてきた審判での口頭審理を、ウェブ会議でも行えるよう改定される。そのため特許の有効性を争うなどの審理がオンラインに対応する。

また、特許料の納付に必要だった窓口での印紙購入を、口座振込や窓口でのクレジットカード決済にも対応できるようになり、電子商取引の増加に伴う偽ブランド品への対策が強化され、個人使用目的での輸入においても取り締まりが可能となる。

登録査定の通知は郵送に代わり、国際機関を経由して電子送付が可能となり、簡素化にもなっている。国際化、デジタル化が進むマーケットに対応した知的財産権手続きを行えるように法案提出が行われる。

今回の商標法改正の大きな柱は、新型コロナ感染症対策としての知的財産関連法関係手続きなどのオンライン化と、模倣品取り締まりの強化の2つです。このうち、前者についてですが、これは、知財関連法に関わらず、現在の日本では、社会全体が新型コロナ感染症対策としてオンライン化を進めていますから、これは特に目新しい点はありません。

一方、後者についてですが、現在、国境を越えた電子商取引の拡大で、海外から多数の模倣品や海賊版が日本に流入するようになっており、これに対する対策が喫緊の課題となっております。2018年度の特許庁の調査では、年間1万社以上が模倣品の被害にあっており、また、模倣品の製造や販売が行われた国別件数は中国が最多で、韓国がそれに続いているという結果となっています。

今回の改正で、そういった模倣品等を水際で防ぐことができるようになり、その結果、海外からの模倣品対策の課題は、解決に向けて大きく前進することが予測されます。