2020年4月15日、栃木県佐野市は同市の伝統工芸品「天明(てんみょう)鋳物」の商標登録を目指し、特許庁による出張説明会を予定していたが、新型コロナウィルスへの緊急事態宣言を受け、キャンセルとなった。 (参照:全国初!栃木県 商工会による地域団体商標「氏家うどん」が登録)
今後、改めて説明会を開催し、関係者間の情報や認識の共有をしたい構えだ。この取り組みで中心的な役割を担っているのが、佐野市である。「天明鋳物」を地域団体商標に登録し、全国的なブランディングアップをしたいとの意気込みを持つ。
自治体そのものは地域団体商標の出願ができない規定となっているため、佐野商工会議所や地元鋳物業者、鋳物師と協議しつつ進展を目指している。
天明鋳物は平安時代から伝わる地元工芸品であり、安土桃山時代には高品質の茶釜を生産していたことで全国的に名をはせた。佐野市は2018年より「天明鋳物のまちづくり」を進めており、その一環として地域団体商標の出願を計画した。
今後は岩手県の南部鉄器や富山県の高岡銅器に並ぶブランディングを目指す。
商標登録の場合には、企業や個人でも出願できますが、地域団体商標は、事業協同組合等、商工会、商工会議所、NPO法人などの商標法で定められた一定の団体でなければ出願できません。
今回、商標出願の動きがあった「天明鋳物」は、将来的には地域団体商標登録を目指しているとのことですが、地域団体商標の出願のためには、出願が認められる一定の団体が成立していることが必要ですから、その団体が成立していない場合には、まず、その団体を設立することが必要になります。
地域団体商標登録をするためには、出願ブランドがある一定の範囲で需要者に広く認識されていることなど、商標登録にはないいくつかのハードルを越える必要があります。出願できる者が一定の団体に限定されているというのも、そのハードルの1つです。しかし、それらの厳しいハードルを越えて登録されるからこそ、地域団体商標登録が、対象に高いブランド力を付与することができるとも言えます。