2020年4月23日、特許庁は三重県熊野市の鉱石「那智黒石」を地域団体商標に登録した。今後のブランディングアップや知財保護への期待が高まっている。 (参照:三重県鳥羽市の厳選カキ、「離島(しま)そだち雅〜 miyabi〜」商標登録してブランド化

商標権者は熊野那智黒石協同組合となっている。「那智黒石」は熊野市神川町だけで採取できる鉱石であり、粘板岩という粒子が細かいため磨くと輝きが増していくことで知られている。碁石やすずり、アクセサリーなどに加工されて活用されている。

また、歴史的にも熊野詣での証としてこの石が拾われ、持ち帰られてきたという経緯を持つ。熊野市内の7軒の加工業者がこの石を取り扱っている。 10年ほど前から外国産の偽物が「那智黒石」として販売されており、知的財産権保護が急務となっていた。同組合では2011年から2013年にかけて3回の商標出願が拒絶査定となってきたが、今回4回目で登録の運びとなった。

世界遺産「鬼ケ城」の鬼や、ローマにある石の彫刻「真実の口」をイメージした記念モニュメントがお披露目され、話題を呼んでいる。

碁石や硯、アクセサリーなどに使用される「那智黒石」は、十数年前から外国産の偽物に悩まされていたと言われています。今回の地域団体商標登録の背景には、ブランド力の強化という目的も当然ありますが、模倣品対策という観点もあるようです。

地域団体商標登録には、模倣品対策として、極めて優れた効果があります。全国的にも有名な、鹿児島県の大島紬や石川県の九谷焼は、地域団体商標登録によって模倣品が激減したと言われています。

生産量が少なく、労務コストが高い日本産の商品が、外国産に対抗するためには、品質の高さで勝負するしかないのですが、そこで重要や役割を果たすブランドが、模倣品の流通によって傷を付けられると、日本産の商品は致命的な打撃を受けます。

地域団体商標登録を行い、模倣品からブランドの価値を守ることは、日本の生産者にとって必須の施策ということができます。