2020年3月31日、特許庁は日本酒パック添付の「のみごろサイン」シールのホログラム商標を登録した。消費者にとって利便性が高い機能を、商標により保護するとともにブランディングアップしたい構えだ。 (参照:「音」「動き」「ホログラム」「色彩」「位置」新しい商標 2014年には施行へ

商標権者は宝ホールディングスとなっている。今回商標を登録したのは、同社の事業会社である宝酒造株式会社が製造販売している「清酒松竹梅特定名称酒スリムパック」シリーズに採用している、「のみごろサイン」と呼ばれるシールである。

同シリーズは2019年3月に販売を開始するとともに、2019年5月に商標出願していた。今回の商標は、文字や図形などの見え方が変化する「ホログラム商標」のカテゴリーで登録された。

「のみごろサイン」は日本酒パックの前面に添付されている示温インクを使用したシールである。飲み頃の温度とされる摂氏10度前後まで冷えるとこのマークの色が変化し、「のみごろ」という文字が浮かび上がってくる仕組みとなっている。

温度変化によって変化する仕組みのホログラム商標は日本初である。

「のみごろサイン」のアイディアは非常に面白いと思います。消費者は、「のみごろサイン」一目見れば、購入しようするお酒がのみごろにあるかどうかが分かります。

酒造業界は、大手企業から中小の杜氏まで、多種多様な事業者が様々な種類のお酒を販売しており、競争の非常に激しい業界となっていますが、「のみごろサイン」は、商標権者である宝ホールディングスのお酒に強いブランド力を与えます。

このようなグットアイディアは、競合他社がすぐ模倣することが考えられますが、そこは、宝ホールディングスが、当該サインをホログラム商標として登録しているので、問題はありません。

なお、ホログラム商標は、2014年5月の商標法改正によって新しく登録可能となった商標ですが、改正前であれば「のみごろサイン」は商標登録できなかったわけですから、このサインは改正の恩恵を受けていると言えます。