2020年3月26日、特許庁はジュエリーパール「金魚真珠」を商標登録した。SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)の精神に基づいて、これまで廃棄されていた規格外の真珠をブランド化した。 (参照:三重県鳥羽市の厳選カキ、「離島(しま)そだち雅〜 miyabi〜」商標登録してブランド化

商標権者は株式会社サンブンノナナとなっている。同社はジュエリーブランド「SEVEN THREE.」において伊勢志摩産真珠の新たなブランドを商品化し、商標登録した。従来は規格外として廃棄処分となっていたいびつな形状の真珠のうち、丸い形にしっぽのような突起がついたものを「金魚真珠」として商品化した。

伊勢志摩地区は世界で初めて真珠の養殖に成功し、最高品質の真珠を生産する世界的な真珠の産地である。しかし、近年はアコヤガイの大量死や後継者不足などから生産量が減少している。

2015年国連サミットで採択された「SDGs」持続可能な開発目標の精神に基づいて、従来であれば廃棄されていた真珠をジュエリーブランドとして活用し、つくる責任や海の豊かさを守りながら自然の美しさをジュエリーとして楽しむという狙いがある。

仮に「金魚真珠」が工業製品であったならば、意匠登録の対象となると考えられますが、「金魚真珠」は工業製品ではなく、自然の生産物なので、意匠登録はできません。また、物品の形状、構造、組み合わせに係る考案にも該当しなので、実用新案権として登録することもできません。

従って、従来は規格外として廃棄されていたいびつな形状の真珠の一部を「金魚真珠」として販売するという発想を直接保護する知的財産権は存在しないことになりますが、「金魚真珠」というネーミングを普通の文字商標として登録すれば、間接的に、上で述べたアイディアを、第三者の模倣から守ることができます。

商標権者である(株)サンブンノナナ以外の業者が、球形にしっぽのような突起が付着した形の真珠を販売することは不可能ではありませんが、その際には、「金魚真珠」以外のネーミングを使わなくてはなりません。

「金魚真珠」の知名度が広く浸透していれば、そのことは、後発業者にとって大きなハンディとなります。それによって、商標権者が保護されるという結果となります。