兵庫県のNPO法人高砂物産協会が、伝統ある帆布「松右衛門帆」を商標登録したのは2014年8月1日である。登録後の異議申立期間を経て正式に効力が発生することとなった。
(参照:アパレルメーカーがブランド名を商標登録する場合はどの区分に登録すればいいでしょうか?

現在この松右衛門帆を使用したショルダーバッグやトートバッグほかの各種バッグが製品化されており、商標登録を期に全国展開を促進したいという。この松右衛門帆は、2010年に高砂物産協会により大学などの協力を得て復元に成功した伝統ある帆布だ。

歴史を紐解くとこの帆布は天明5年(1785年)に発明され、長い間日本の水運事業を支えてきたといい、今年は発明230年に相当する。開発者の工楽松右衛門は船頭としての経験を生かして刺帆を改良し、松右衛門帆を編みだしたという。

太い木綿糸を使うのが特徴で、木綿糸2本を束ねた双糸を3本合わせた糸で織り上げることによって分厚くて丈夫な帆布が可能となった。松右衛門帆を使用した各種バッグは、全国各地の店舗はもとよりオンラインショップなどでも購入が可能となっている。

商標登録の最大の効果は、登録した商標を第三者が無断に利用して偽物の販売をした場合に、禁止を求めることができ、ブランドの信用力を維持することできるようになります。また商品に独自の商標を付することで、他の商品との差別化を図ることができます。

帆布を利用したバックなどは、価格の安い外国産製品が多数出回っています。この中で、生産コストの関係でどうしても外国の業者に太刀打ちできない日本の生産業者としては、高級感のある商品を求める消費者層を対象に販売を展開していくことが大切になります。

そのためには、偽物の混入によるブランド力の低下を防止することももちろん大切ですが、商標登録で生まれる高級感や信頼感を最大限に利用して販売戦略を立てていく必要があります。

帆布製品は特に外国産品との競争が激しい分野です。今回登録がなされた「松右衛門帆」が、商標登録の効果をフルに活用して、外国産の製品との競争にも十分に耐えうる力を備えることが、大いに望まれます。