国税庁ホームページでは、商標権の取得価額に相当する金額を損金の額に算入することができるという特例について説明している。ただし、この特例を適用するには一定の条件を満たした場合に限られる。(参照:特許庁 商標権管理の仕組みを2017年4月より改定

特例が適用される条件は以下の通りである。

・常時使用する従業員数が1,000人以下である中小企業者および農業協同組合等であり、青色申告法人であること。
・取得額が30万円未満の減価償却資産であること。
・対象となる資産が平成18年4月1日から平成30年3月31日の期間に取得し、事業の用に供したものであること。
・事業の用に供した事業年度内で取得金額に相当する金額を損金経理し、確定申告書等に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書を添付の上で申告すること。

ただし、適用を受ける事業年度内の少額減価償却資産の取得額総額が300万円を超過する場合は、取得金額の合計のうち300万円に達するまでの合計額が限度となる。

ちなみに、この特例が適用されるのは商標権だけでなく、器具、備品、機械・装置等の有形減価償却資産、またソフトウェア、特許権等の無形減価償却資産も対象となっている。

商標権を取得した場合、経理上は、商標権の取得にかかった費用を無形固定資産の計上し、商標権の存続期間に応じ10年又は5年の均等償却を行うのが本来の姿です。

しかし、常時使用する従業員数が1,000人以下の中小企業者や農業協同組合などは、本特例によって、確定申告を青色で行うなど、一定の要件を満たした場合には、商標権の取得にかかった費用を無形固定資産に計上せず、支出を行った年の必要経費として計上することができます。

なお、本特例は、平成18年4月1日から平成30年3月31日までに取得した商標権について適用される制度でしたが、平成30年度税制改正によって、平成32年3月31日までに取得される商標権についても、本特例が適用されることになりました。

商標権にかかった経費を支出した年度(年)の必要経費として計上することにより、一定の節税効果が得られます。なお、この本特例が利用できるのは、商標権の取得にかかった費用が10万円以上30万円未満である場合に限ります。

もし、10万円未満であれば特例を利用しなくても、支出した費用を支出した年の必要経費に算入できます。また、費用が30万円以上であれば、本特例は利用できません。