2019年6月7日、特許庁は福井県の銘菓「越前おおのでっち羊かん」を地域団体商標に登録した。今後増えると予想される福井の観光客へのPRを強化する狙いがある。 (参照:福井・美浜町、「美浜熟成魚」「塩熟ぶり」の商標使用を許諾

商標権者は福井県大野商工会議所となっている。同商工会では、2011年から毎年2月に「でっち羊かんまつり」を開催、市内の「越前おおのでっち羊かん」を一堂に味わえると延べ10万人以上が訪れた。

2015年から毎年「越前おおのでっち羊かん」を特許庁に商標出願している。登録査定に必要な知名度アップのために、物産館での無料配布、メディアでのPRなどを推進してきた努力が報われた結果だ。

現在、菓子組合に加盟する14の店舗が統一したパッケージを使用しており、今後は登録された商標を活用していく予定だ。販売網も、現在取り扱っている各店のホームページに加え、東京都にある県アンテナショップや道の駅「結の故郷(くに)」と扱いを広げていく。

「越前おおのでっち羊かん」は一般的な羊かんの2倍の厚みと弾力が特徴的である。大野のおいしい名水と黒砂糖のコクのある甘味が舌を楽しませてくれる。

地域団体商標として登録されるためには、出願した地域ブランドが「需要者の間に広く認識されていること」が必要です(商標法第7条の2第1項柱書)。需要者の間に広く認識されているとは、指定商品の種類に応じて、各々の基準が設けられています。

「越前おおのでっち羊かん」の場合は、主として生産地のみで販売される地産地消の商品やその地でのみ提供される役務(例えば、伝統野菜、消費期限が短い生菓子)に該当し、登録が認められるためには、少なくとも地域が属する一都道府県における多数の需要者に広く認識されていることが必要です。

福井県大野商工会議所では、出願にあたり、物産館での資料の無料配布、メディアでのPRなどを推進してきたとされていますが、その成果によって、当該地域ブランドが「需要者の間に広く認識されていること」と特許庁が認めたために、今回、登録査定の運びとなりました。