2019年6月14日、長崎・佐世保「佐世保バーガー」が地域団体商標に登録された。地元では、今後も大切なご当地グルメを守っていきたい思いだ。(参照:群馬の道の駅グルメ「デビルズタンバーガー」が商標登録

商標権者は「佐世保バーガー事業協同組合」となっている。2009年、「佐世保バーガー」を地域ブランドとして定着させるために同組合が設立された。2015年、同組合は商標出願したものの、他の地域でも「佐世保バーガー」ブランドのハンバーガーが販売されていることを理由に却下されたという経緯がある。

不服申し立てに対する再調査の結果、佐世保地域のみでの販売が中心になりつつあると状況の変化が認められ、登録査定された。現在、組合には佐世保市内に本社がある、製造販売実績が3年以上、冷凍や通販のみを主体としない事業者が参加している。

1950年頃、アメリカ海軍から伝授され作り始められたのが「佐世保バーガー」の始まりと言われている。外国人バー街を中心に多数のハンバーガーショップが開かれ、時が経つうちに佐世保独特のレシピが確立した。

例えば、「東京りんご」のような地域名(東京)と商品名(りんご)を組み合わせただけの単純なネーミングは、商標としてであれば、登録を受けることができません。仮に、そのような商標を認めた場合、商標権者以外の東京都のりんご生産者は、東京リンゴというネーミングを使われなくなり、困った事態になります。しかし、地域団体商標であれば、一定の要件をクリアすれば、そのような単純なネーミングでも登録を受けることができます。

今回、地域団体商標として登録された「佐世保バーガー」も、佐世保という地域名とハンバーガーのバーガーという商品名を組み合わせた単純な名称なので、商標登録であれば間違いなく拒絶査定となっていたでしょう。しかし、地域団体商標登録であったため、登録の運びとなりました。

ちなみに、地域団体商標は、商工会、商工会議所、事業協同組合、NPO法人など、一定の団体しか登録権者になることができません。このため、実際にそのブランドを使用していないものが、そのブランドを他人に使わせないようにする目的のために、地域団体商標登録を行うことはできないようになっています。