2019年7月、滋賀県特産のお茶「政所(まんどころ)茶」が特許庁の地域団体商標に登録された。知財保護に加え、ブランド力推進を図っていきたいとしている。 (参照:滋賀県 食用米から醸造した「純米みずかがみ」、人気で県セレクションに選定

商標権者は、滋賀県東近江市のJAグリーン近江となっている。2016年に地域団体商標に商標出願、2017年には地域の茶農家が集まり「政所茶生産振興会」を設立し、道の駅での新茶試飲会や県外アンテナショップにおけるPR活動など事業推進をおこない、今回の登録となった。出願目的は地域活性化とブランド保護である。

「政所茶」は滋賀県東近江市東部に位置する奥永源寺地域で栽培される在来種の茶である。歴史は古く、今から約600年も前の室町時代からこの地で生産されてきた。

山あいの急斜面に張り付くようにして育成されている茶畑で生産された政所茶は、銘茶の最高峰として愛飲家に親しまれている。しかし近年の地域の高齢化により栽培農家が減少しており、活性化が望まれている。

地域団体商標は「地域名」+「商品名」で構成されるブランドですが、登録された地域団体商標を見てみると、例えば「東京牛乳」「船橋のにんじん」「越前漆器」のように、全国的に有名な地域名を冠するものと、全国的にあまり知られていない地域名を冠するものの2種類があります。

今回登録された「政所(まんどころ)茶」は後者に該当します。政所茶の「政所」は、滋賀県東近江市政所町(地域)に由来します。政所というと、平安時代以後、親王・摂政・関白・大臣などの家で、所領の事務や家政などを取り扱った所という意味もあり、また、豊臣秀吉の正室である高台院(おね)が「北の政所」と呼ばれていたことが有名ですので、一見すると政所は地域名でないような気もしますが、れっきとした地域名です。

そもそも、政所が地域名でなければ、政所茶は地域団体商標登録することができません。こういった全国的に著名でない地域名を冠した地域団体商標が登録された場合、それは、登録された商品名だけでなく、頭に冠した地域名も、全国にアピールされることになります。