2020年2月5日、特許庁は富山の酪農品「越中万葉牛」を商標登録した。今後もブランディングアップを図っていくほか、インターネット販売も視野に入れている。 (参照:富山県氷見産ぶり、「ひみ寒ぶり」として商標登録

商標権者は食肉加工販売の天狗乃肉林本店となっている。「越中万葉牛」は富山県高岡市福岡町にある山本牧場で育成されているブランド牛である。黒毛和牛とホルスタインを交配させた品種となっている。付近の五位ダムの水と富山県産イネの発酵エサで飼育されており、赤身と脂肪のバランスが取れたおいしい牛肉として人気が高い。

これまでふるさと納税の返礼品としても人気を集めており、商標登録によりさらなるブランディングアップを図っている。今後は市内の精肉店での販売と共に、飲食店への提供も進めていく構えだ。「越中」は北陸の旧国名であり、現在の富山県にあたる。

また、「万葉」は日本最古の歌集である「万葉集」の代表的歌人である大伴家持にちなんだものである。大伴家持が奈良時代に国守として高岡に在任していたという史実から、「高岡万葉まつり」などが開催されている。

今回商標登録されたブランドには「越中」という富山県の旧国名(地域名)が入っています。地域名を含んだブランドというと、地域団体商標が真っ先に思い浮かべられますが、地域団体商標登録が可能となるためには、出願者が商工会議所や農協、NPO法人など一定の団体であるということや、出願ブランドが、食肉の場合には、少なくとも産地が属する都道府県を超える程度の範囲における多数の需要者に広く認識されていることが必要になります。

一方、通常の商標権の場合には、個人や一般企業の出願も可能であり、また、登録に当たって、一定の範囲の需要者に認識されている必要もありません。この点、地域名を含んだネーミングをブランド化する場合、地域団体商標よりも一般の商標の方がはるかに制限が緩やかです。今回の「越中万葉牛」の商標登録は当該事案の好事例ということができます。