2018年10月19日、青森県深浦町の「ふかうら雪人参」が商標登録された。今後も知名度アップを目指し、生産や販売に邁進していく方針だ。 (参照:青森県産の黒毛和牛「あおもり和牛」、地域団体商標に登録

「ふかうら雪人参」は青森県深浦町でとれる農産物となっている。商標権者は農事組合法人舮作(へなし)興農組合である。「ふかうら雪人参」はミネラル成分が多い土壌と、雪の中で収穫を遅らせることで糖度が高いことが特徴の野菜だ。

「はまべに」という品種の人参を秋に収穫できるまでに育てたうえ、土の中で眠らせ、雪が降り積もる12月から3月のあいだに手作業で収穫する。雪の中で保存された人参は寒さの中でも凍らないよう身を守るために糖分を蓄えるようになり、平均して9度、多いものになると12度を超える糖度の人参が収穫できる。

今回の登録は、地域名を冠した一般名称のために登録が困難とされる中で実現した。「ふかうら雪人参」の知名度が全国的に高くなったことを評価されたとして注目されている。

商標法第3条3項では、商品の産地、販売地、品質、原材料、効能、用途、形状、生産若しくは使用方法などを、普通に用いらる方法で表示する標章のみからなる商標は、登録できないと規定しています。

その一方で、同法第3条の2において、商標法第3条に該当する場合でも、使用された結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるものであるときは、例外的に商標登録が可能であると規定しています。

「ふかうら雪人参」は、確かに「ふかうら」は単純な生産地の名称で、「雪」も生産の方法を示しているだけ、「人参」は原材料の普通名詞です。

従って、本来は商標登録ができない標章ですが、「使用された結果需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるもの」と判断されたために、商標法第3条の2の規定により例外的に登録される運びとなりました。

こういったブランドであれば地域団体商標の方が向いているような気もしますが、今回は、普通の商標登録出の出願・登録となりました。

こういった地域ブランドも一定の知名度があれば普通の商標として登録できるということを示す事例でした。