2019年5月15日、静岡県浜松市の浜名漁協は「浜名湖のり」を地域団体商標に出願することを決定した。今後は東京五輪・パラリンピックを契機に、世界へ向けて「浜名湖のり」ブランドを発信したいと計画している。 (参照:兵庫の「尼崎あんかけチャンポン」、地域団体商標に

出願人は静岡県浜松市西区の浜名漁業協同組合である。また、ノリの加工業者が集結して立ち上げた「浜名湖のりブランド推進協議会」が後援している。同協議会では「のり」と「リノベーション」や「イノベーション」を組み合わせた造語「ノリベーション」でブランド推進を図っている。

「浜名湖のり」は、浜名湖で養殖されている食用海苔である。黒海苔と青のりをブレンドし、強い磯の香と濃い緑色が特徴であり、世界に誇れる品質を誇っている。食品製造に活用できる「浜名湖のりパウダー」も広く活用されている。

1820年(文政3年)ころから養殖が始まったため、東京五輪・パラリンピックが開催される2020年は養殖200年となり、これを契機としてブランド力を高めたいと考えられている。

現在の日本、中国、韓国の3国によるFTA(自由貿易協定)の交渉が本格的に進められるようになると、日本の海苔産業界に与える影響は大きいものと考えられています。貿易に関する日本の海苔産業界の取組みは、他の食品産業と比較して消極的だと言われていますが、FTA協定の進展を考えると、今後は、日本の海苔を海外に輸出していく必要があります。

ところで、海苔商社に海苔の海外への輸出について問い合わせると共通して帰ってくる答えが「韓国や中国の海苔が販売されている地域では、価格では太刀打ちできない」というものだそうです。そこで重要になってくるのが「質と価値」を遡及する販売方法です。

「浜名湖のり」は2020年には養殖200周年を迎えますが、特有の強い磯の香りと鮮やかな緑色が特徴です。そういった「質と価値」を積極的に遡及し、地域を超えた広告宣伝、販売を展開していく際には、地域団体商標登録が大きな役割を果たします。

地域団体商標登録の有効範囲は日本国内に限定されるので、地域団体商標登録が直ちに「浜名湖のり」の海外への輸出に対し貢献するというわけではありませんが、将来的に国外展開する際の土台作りには大きな役割を果たします。