2020年10月29日、政府は商標法と関税法の改正により、模倣品など偽ブランド品の海外からの持ち込み規制を強化する方針を明らかにした。経済産業省と財務省が検討を始め、知的財産権保護を強化していく。 (参照:特許庁、商標法の一部 国際基準に準ずる改正

現在の法制度においては、商標登録されたブランドの無許可による模倣品は商標法違反となり、事業として輸入する際に違反が発覚した場合は没収・処分となる。しかし、個人使用目的での輸入は対象外となるため、「個人使用目的」との名目のもとで模倣品を輸入する業者が後を絶たない状況だ。

そのため政府は、事業者宛だけでなく個人宛の輸入品も規制の対象となるよう法改正に取り組みたいとしている。インターネットを利用した海外仕入れが増加するにつれ、模倣品の被害にあうケースも増えており、緊急な対策が求められている。

2020年1月から6月の期間において、輸入差し止めは15,000件以上あり、前年比18%増となっている。ただし、個人宛の模倣品が発覚した場合も個人への罰則は設けない方向だ。

現在の商標法では、国内事業者が模倣品の輸入や売買を行うと、商標権を侵害したとして処罰の対象となりますが、個人が模倣品を輸入した場合には、商標権の侵害には当たらず、処罰されないことになっています。

最近は、インターネット通販の普及で、海外の事業者が直接個人に商品を販売するケースが増加しておりますが、この法の抜け道を利用して、海外の事業者が個人相手に模倣品を直接販売するケースが目立つようになりました。

模倣品の個人への販売が法規制の対象となっていなかったのは、事業者への販売と比較すると取引数が少なく、仮に個人向けに海外の模倣品が販売されても、それほど大きな影響はないと考えられていたためでしょう。

しかし、その取引数が増加してくると、野放しにしていたのでは、商標権者の権利を守ることができなくなります。そこで、今回、商標法及び関税法が改正され、この抜け道がふさがれることになりました。