2019年5月10日、福岡県糸島市の名産「糸島カキ」が地域団体商標に登録された。今後は品質向上と共にブランド力アップをし、全国に向けた展開を目指している。 (参照:福岡県産の漁獲類「鐘崎天然とらふく」、地域団体商標の登録査定に

商標権者は糸島漁業協同組合となっている。糸島におけるカキ養殖は1988年に始まり、2004年からは毎年冬になると約30軒ほどのカキ小屋がオープンし、取れたてのカキを自分の手で焼いて食べるほか、持ち帰りや全国発送で購入することが可能となった。

2017年に同漁協は「糸島カキ」の商標を出願し、今回の登録になった。2019年秋には常設のカキ小屋もオープンし、一層の賑わいとなる見込みだ。糸島市内の6漁港、福吉漁港、深江漁港、加布里漁港、船越漁港、岐志漁港そして野北漁港となっている。

これまで同じ漁協に加盟している業者間でも、使用する表記が「糸島カキ」であったり「糸島かき」また「糸島牡蠣」とバラバラであった点も、今回の商標登録により統一化されると期待されている。

商標登録の場合、「東京りんご」のような「地域名+商品名」からなる標章は、特定の者が独占するのにはなじまないという理由で、登録することができません。しかし、地域団体商標の場合、一定の要件をクリアすれば、そういった標章でも登録することができます。

今回登録された「糸島カキ」も、「糸島」という地域名と「カキ」という一般名称を単純に組み合わせた標章なので、商標として出願したのであれば、拒絶査定となるはずです。しかし、地域団体商標だったので登録の運びとなりました。

地域の名産品のブランドは、「地域名+商品名」の名称を使うのが多いのですが、地域団体商標登録の創設で、そういったブランドでも法律上の保護を受けることが可能になりました。