2018年11月16日、北海道の海辺で出現する自然現象の「ジュエリーアイス」が商標登録された。美しい自然現象の、今後のさらなる知名度アップが期待されている。 (参照:北海道けんぶちの若手農業者が「軽トラマルシェ」を商標登録

商標権者は北海道中川郡豊頃町(とよころちょう)である。「ジュエリーアイス」とは、豊頃町の大津海岸に冬の時期になると漂着する氷の塊のこと。海岸にゴロゴロ転がる「ジュエリーアイス」に日に光が差し込むと、まるで宝石のように燦然と輝くことに由来している。同町出身の学校教師が2012年に命名し、町の観光案内でも積極的に活用してきた。

豊頃町では2017年4月に「ジュエリーアイス」を商標出願したところ、先行出願があるとの理由で拒絶査定となってしまった。菓子製造会社3社が先行して出願していたのだ。豊頃町としてはこの名称が特定企業に独占されず、自由に広まって欲しいとの願いから意見書を特許庁に提出した。

以前から観光PRにおいて積極的に使用した実績から先願権を主張し、認められた。

商標登録というと商品やサービスのブランドというイメージがありますが、今回の事例は、北海道の十勝地方の東南端に位置する豊頃町に出現する自然現象が商標登録の対象になったという、非常に珍しいものです。

「ジュエリーアイス」はアイスクリームの名称にありそうなブランドですが、実際、菓子製造会社が豊頃町の前に商標登録の出願をしていました。

もし仮に、豊頃町の出願が拒絶査定となり、菓子製造会社の出願が登録査定となっていれば、豊頃町の自然現象「ジュエリーアイス」の観光PRは非常にやりにくいものとなったでしょう。

また、「ジュエリーアイス」の名称は特定の企業が独占的に使用することになり、このブランドの使用は大幅に制限されます。幸いにも、豊頃町の出願の方が認められましたので、そういった事態は避けられます。

従って、今回の特許庁が特定の判断は非常に好ましいことであると言うことができます。