2020年5月24日、ミャンマーで知的財産関連法が成立した。今後、2020年中にも知的財産庁が設立される予定であり、そのタイミングで同法も施行されることになる。 (参照:中国で新しい商標法が年内に発表。中国での日本企業の知的財産権はどうなる?

今回制定された知的財産関連法には、商標法、工業意匠法、特許法、著作権法が含まれている。現行のミャンマーにおける著作権法や商標登録システムは、権利保護に不備があり、審査システムにも課題があった。こうした点が改善され、モダンな法整備が整うことになる。

ロゴの偽造や商品の模倣に頭を抱えている企業には、経営基盤を整えるチャンスとなるだろう。また、今後ミャンマーに進出を計画している企業にとっては朗報であるとともに、迅速な対応が求められている。すでに現行の商標システムに登録している場合も改めて申請が必要となるが、現行の商標権者が優先的に申請できることになっている。

日本貿易振興機構(JETRO)では、「ミャンマー知的財産セミナー」を現地ヤンゴンで開催し、当たらな法整備への対応方法をシェアした。

ミャンマーは比較的安価な労働市場を背景に、比較的高い経済成長率(2017年で約6.8%)維持しており、親日的な国民性と相まって、日本企業にとって「アジア最後のフロンティア」として注目されています。そのミャンマーでは、近年、海外からの投資を促進する政策を進めており、今回の知的財産関連法の成立も、その一環です。

海外進出を考える場合、品質が良く価格の安い製品を開発することは重要ですが、現在ではそれだけでは不十分です。進出先の知的財産制度が整備されていないと、せっかく良い製品を販売しても、模倣品が氾濫したりして、大きな成果を上げることができません。

その点で、今回、ミャンマー政府が知的財産関連制度を整備したことは、ミャンマーでの市場の信頼性を高め、ミャンマーに進出しようとしている企業にとっては、大きな後押しになることは間違いないでしょう。