2020年7月14日、特許庁は知的財産の動向や取組をまとめた「特許行政年次報告書」2020年版をリリースした。広く知的財産への関心を広めていきたい考えだ。 (参照:特許庁、地域ブランド作りのガイドブックを作成

この報告書は毎年発行されており、知的財産権の現状や方向性を国内外問わず取り上げて、直近の統計調査や特許庁の取組についても触れている。報告書は「本編」と「統計・資料編」の2巻仕立てである。本編では、2019年から2020年にかけての世界の産業財産権の動向がまとめられている。

また、国内外における出願・審査・登録・審判の現状や、特許庁での取り組み、世界の地域別の知的財産権の動向が扱われている。巻頭特集ではMIRUスポーツと特許が扱われ、スポーツを見るための最新技術とそれを守る特許が解説されている。

一方、統計・資料編では、出願・登録に関する主要統計や、国際出願関係統計海外の主要国における産業財産権の統計が掲載されている。本書はPDF形式において、無料でダウンロードすることで入手できる。

特許行政年次報告には、毎年毎年冒頭特集が組まれています。冒頭特集は2015年版では「130年の産業発展を支えてきた産業財産権制度」、2016年版は「イノベーションシステムを支える知的財産」、2017年版は「知をつなぎ時代をつくる知的財産制度」、2018年版が「知財がつなぐ先人の想い~明治150年を迎えて」、2019年版が「知財という視点から振り返る平成という時代」、そして、今回の2020年版が「MIRUスポーツと特許」となっています。

来年の2021年に東京オリンピックの開催されています。1964年に行われた前回の東京オリンピックでは、世界で初めて生中継が行われ「テレビオリンピック」とも言われています。カラーテレビ放送、VTR収録、スローモーション再生、中継中の接話マイクなどの新技術が、世界を驚かせました。それから50年以上経過した2回目の東京オリンピックでは、世界中に感動を共有する最新技術の活用が期待されています。

今回の年次報告の冒頭特集は、スポーツをMIRU(見る)ための最新の技術を例にとり、「技術を守る武器」である特許について紹介していく興味深い内容となっています。