2020年7月21日、特許庁はITサービスドワンゴの「投げ銭」を商標登録した。今後、この言葉の商標を害意ある第三者により取得され、自由な仕様の制限が発生するのを防ぐ狙いがある。 (参照:求人情報提供会社ゴーリスト、「HRog」を商標登録

商標権者は株式会社ドワンゴである。「投げ銭」とは古来、大道芸やストリートミュージシャン、舞台などで現金を投げるご祝儀であり、世界各地でみられる習慣である。近年はインターネット上で、ユーザーが配信者に向けてデジタルマネーを贈るシステムをこのように言っている。こうした贈与によってユーザーは、配信者を評価していることを伝えるとともに、配信を継続してほしいとのサポートにもなる。

知的財産分野においては、第三者が商標を取得し、利用者に対価などを請求したり言葉の使用を制限したりとの弊害がでている。このため、今回ドワンゴは広くインターネット上でみられる「投げ銭」というシステムを維持し、誰でも自由に使用できるよう商標を取得したという。ドワンゴは商標の使用制限や使用料の請求をするつもりはない、と明言している。

商標法第3条第1項第1号では、「その商品又は役務の普通名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」は商標登録ができないと規定されています。

「投げ銭」は、ストリートミュージシャンなどに対する祝儀を意味する普通名詞として一般的に知られていますから、金銭を祝儀として投げ渡す行為を対象として出願したのであれば、上記の規定に引っかかって拒絶査定となっていたことでしょう。

しかし、今回は、インターネット上のデジタルマネーを贈るという行為を対象としており、この行為を「投げ銭」と呼ぶネーミングは一般化されていないと判断されたため、登録査定となりました。

気に入ったコンテンツを配信してくれる者にデジタルマネーを贈り応援するという行為を「投げ銭」と名付けるのは、非常にユニークで気の利いた言い回しです。そういったところが評価されて、商標登録が認められたと考えることができます。