2019年4月1日に発表された新元号「令和」が、中国で商標登録されていたことが判明した。今後10年間は、この言葉を使っての同分類での商標を中国で使用することはできない。 (参照:特許庁「事例から学ぶ 商標活用ガイド」を刊行

4月1日に発表された新元号「令和」が、中国商標局において商標登録されている。登録分類はアルコール類となっている。この商標は2017年に出願し、2018年10月21日に成立しており、異議申し立てもできないという。日本の新元号が決定されたのは2019年4月1日のため、それ以前に出願されたのは偶然と思われる。

中国での商標登録のために、日本企業が中国国内で自社ブランドを使用できないという問題が続いている。元来、商標など知的財産権は先願主義という、先に出願した出願者が優先されるというルールで成り立っているため、これを逆手に取った商標ビジネスも行なわれている。

海外でのブランド保護という視点を早めにとっておくことが、世界へ向けたビジネス展開では必須である。

日本では、新元号「令和」という名称の日本酒が何種類か発売される予定です。中国で、アルコール類を登録分類として「令和」というブランドがすでに商標登録されているので、日本で今後発売される「令和」というネーミングのお酒は、中国では販売できないことになります。

もっとも、日本で発売される「令和」というネーミングのお酒は、日本の消費者を対象としていることは間違いなく、当面は、中国で販売されることもないでしょうから、中国で「令和」の商標登録がされていることは問題とはならないでしょう。

しかし、もし、今回日本で発売される「令和」ブランドのお酒の一部が中国人の間で大ヒットし、中国に輸出するような事態になった場合には、「令和」というブランドを変更する必要が出てきます。

今回の件では、中国企業が日本でアルコール類を登録分類として「令和」の商標登録を日本で行っていたとした場合には、大きな問題となることは間違いありません。

中国での登録で、しかも、日本の新元号発表の1年以上前に出願されていたことを考えると、偶然の登録である可能性が高く、この影響は限定的と考えられます。