2014年6月18日、米商標審判部は、プロフットボールチーム「レッドスキンズ」の商標が先住民の蔑称になるため商標登録の取り消しをすべきとの判断を示した。
(参照:マドンナが商標権を巡る騒動でトラブル!

これは、米ナショナル・フットボール・リーグ、ワシントン・レッドスキンズが登録したチーム名や先住民のイラストが組み合わされた6種類のマークに関して、先住民グループから訴えがなされたことを受けた判断である。同部は、赤い肌を意味する「レッドスキンズ」という名称が個人や団体の侮蔑につながる商標を禁じた連邦法に抵触すると判断した。チームは、上訴する構えを見せている。

仮に商標登録取り消しが確定した場合、名称やマークそのものは使用できるが、商標法による保護がないため第3者の使用を制限することができず商標使用料による収入が得られない。

「レッドスキンズ」というチーム名に関しては、先住民への蔑称として1980年代から改善すべきとの声があがっており、1999年には商標取り消しの決定が下されたが、連邦裁判所で覆ったという経緯がある。

商標といえば、その経済的効果はもちろん重要です。

しかし、それが人種や国家、地域、皇室などに関連する場合には、その国や地域の人々の感情に関わる複雑な問題があります。

米国では、ついこの間もNBAのあるチームのオーナーが黒人蔑視の発言をしてNBAから追放され、巨額の賠償金の支払いを命じられたことが報道されました。

重大な犯罪を犯したのならいざ知らず、たまたま非公式の場で発言しただけでこのような重い処分を受けるとは少し理解に苦しむところもありますが、米国人の人種差別に対する感覚を象徴しているものと思われます。

「レッド・スキンズ」が、全住民蔑視の呼称として商標権の取消の判断がなされたことも、私自身、この記事を読むまではその名称に何の疑問も持ちませんでした。

ですが、意味を考えると「赤い皮膚」ですから、確かに人種差別的な感覚があります。

人権差別に敏感な米国ではやはり問題になるかもしれません。

先住民のたくましい敬意を表してチーム名としたのかもしれませんが、万年最下位だとか大敗する場合もあるでしょうから、やはり、そういった複雑なものに関わる商標は避けたほうが無難といえます。