2021年7月21日、特許庁は大分県の農産物である「クリーンピーチ」を商標登録した。今後も全国へ向けた知名度アップや促進を図っていきたい考えだ。 (参照:大分県農産物「マリンレモン」が商標登録

商標権者は有限会社清川ふるさと物産館夢市場となっている。2020年5月18日に商標出願し、区分第29類として登録された。「クリーンピーチ」は大分県清川町で生産されている桃のブランドである。

1980年頃にユスラウメの木に桃の木を接ぎ木するというわい化栽培によって育成が始まった。通常の桃よりも糖度が高く甘いのが特徴であり、生産者、村役場(当時の清川村)、農協が連携しつつPRに励んだ結果、人気の高い名産品として育ってきた。

1982年から出荷を開始し、当時は100戸ほどの生産者がいたものの、現在は減少している。年間で約10トンほどの収穫がされている。収穫するそばから売れてしまうほどの人気のため、地方発送はしていない。現地の販売所でも整理券を発行したり、個数制限をするほどの人気ぶりだ。

農産物に関しては、種苗法に基づく品質登録制度があり、この登録がなされると、権利者以外の者は、権利者の許諾を得なければ、登録品種等を利用できなくなります。今回商標登録された「クリーンピーチ」は、植物品種ですので、当然、種苗登録という方法でも、第三者の模倣を防止することはできます。

しかし、種苗登録では、第三者が「クリーンピーチ」を権利者に無断で栽培・販売することは防止できますが、第三者が、「クリーンピーチ」以外の桃を「クリーンピーチ」のブランドを使って販売することを防止できません。商標登録をした場合、こういった不当行為に対して法的措置が取れるようになります。

こういった観点からすれば、農産物の場合、種苗登録と商標登録の2つの登録をしておくことが、権利保護の観点から重要だと言えます。