2019年10月4日、日本名画の作品名が特許庁に商標登録された。対象となる絵画は、日本生まれのフランス画家である藤田嗣治画「秋田の行事」となっている。 (参照:秋田県「十和田オーディオ」が新たに商標を買い取り、懐かしの音響機器「AIWA」ブランドが復活

今後は絵画そのものを保護する著作権とともに、知的財産権保護の下に置かれることとなった。商標権者は秋田市の平野政吉美術財団となっている。同財団は該当絵画である大壁画「秋田の行事」を所蔵している。藤田嗣治は1968年没の西洋画家のため、2018年が没後50年に当たっている。

これまで著作権保護ができるのは作者没後50年となっていたため、2018年に著作権保護期間が切れる可能性があった。そのため、同財団は2018年9月3日に商標出願をした。加えて、2018年12月に環太平洋連携協定(TPP)が発効したため、著作権保護期間が作者没後70年に改訂された。

今後は絵画そのものを保護する著作権に加えて、作品名を保護する商標でも知的財産権保護がされることとなる。

商標権というと、普通は、商品などを販売する時に使用するブランドを、第三者が勝手に使用することを防止する役割を果たすものというイメージがあります。しかし、今回の「秋田の行事」の登録のように、作者の没後に一定期間が経過して、著作権の有効期限が切れた後に、著作権の代用として、知的財産権保護の役割を担うこともあります。

著作権は、創造的な文化の発展を目的とする表現を保護を目的とし、商標権は、産業の発達を目的とする技術的アイディアを保護するという目的があり、双方の権利の目的が異なっているので、商標権が著作権の役割を完全に代替できるということはありません。

しかし、第三者による模倣は、偽物を作成して販売し利益を上げることを目的として行われることがほとんどなので、商標権をしておくだけで、第三者による模倣の大部分を防止することができます。