2019年11月29日、特許庁は嗜好飲料の「UCCミルクコーヒー」のカラーリングを商標として登録した。色彩のみからなる商標への登録は、食品業界では初めての快挙となる。(参照:特許庁 「トンボ鉛筆」と「セブンイレブン」色彩のみからなる商標を初認可

商標権者はUCC上島珈琲となっている。「UCCミルクコーヒー」は1969年に発売して以来、50年にわたって微妙な色彩やデザインの変更以外変わらない缶コーヒーのデザインが使用されている。

その「赤、白、茶」の三色を基調としたデザインは長く親しまれており、缶コーヒーの最長寿ブランドとしてギネス世界記録に認定されているほどだ。色彩のみからなる商標に登録された、ということは、このカラーリングが多くのユーザーからUCCミルクコーヒーを想起させると認められたことを意味している。

色彩のみからなる商標はこれまで、トンボ鉛筆の「MONO」消しゴムの青、白、黒のカラーリングや、セブンイレブンの赤、緑、オレンジからなるカラーリングなど7件が登録されてきた。

登録商標というと、文字やロゴ、図形で構成されるものというイメージがあり、以前は、そういったものでなければ登録ができなかったのですが、時代の変化によって、そういったもの以外でも、商標としての機能が認められた場合には、登録ができるようになっています。

例えば、平成8年の法改正によって、立体商標の登録が可能になりました。そして、平成26年の法改正で、動き商標、ホログラム商標、音商標、色彩のみからなる商標、位置商標の登録が可能になりました。

今回商標登録されたUCC缶コーヒーの赤白茶のカラーリングも、最近の改正で登録が可能になった新しい商標(色彩のみからなる商標)に該当します。ところで、色彩のみからなる商標の累積登録件数は、今回登録された分も含めて8件ですが、平成8年の改正で誕生した立体商標の累積登録件数は、2012年4月現在で2,082件となっています。

登録件数から考えると、色彩のみによる商標は、立体商標と比較すれば、非常に珍しい商標ということになります。