2019年11月、医療機器メーカーオムロンの電子体温計が特許庁により立体商標登録された。今後も健康と快適な生活をサポートする企業として発展を図る模様だ。 (参照:宝飾品メーカーTASAKIのアイコンジュエリー、立体商標に登録

商標権者はオムロン ヘルスケア株式会社となっている。「けんおんくん」MC-670/MC-681は2004年に発売された電子体温計である。発売当時は主流であったペンシル型の体温計とは一線を画し、計測数値部分が大きく表示され見やすいのが特徴だ。曲線的なフォルムが手にも優しく、国内外のデザイン賞を多数受賞してきた。

立体商標とは、1997年から始まった、立体的形状を商標として登録し知的財産権として保護する仕組みだ。今回の「けんおんくん」の登録は、「文字や図形を含まない、商品の立体的形状のみ」を登録の対象としている。立体形状を見ただけでオムロンの体温計だと広く認知されていることが認められた形だ。

これにより、「けんおんくん」の立体形状が知的財産権保護の対象となる。

立体商標のお話が出てくるたびに思いつくのが、それと意匠とどこがどう違うのかということです。立体商標も意匠も、モノの形状(デザイン)を対象にした知的財産権ですが、立体商標は、デザイン自体ではなく、デザインから認識される自他識別機能や出所表示機能といった、デザインに蓄積された「業務上の信用」を保護します。

一方、意匠は、デザインそのものを保護しています。また、意匠は、新規性や独創性がないと登録が認められませんが、立体商標の方は、そういったものがなくても、商標としての機能を有していれば、登録が可能です。

実際には、ヤクルトの容器やペコちゃん人形のように、立体商標として登録されているものが、同時に意匠として登録されているケースが多くなっています。