2014年11月16日、特許庁は、特許の取得や維持にかかる費用を引き下げると発表した。中国などの新興国による特許や商標取得によって市場を占有されてしまう事例を懸念し、国際競争力を高めるのが目的だという。
(参照:商標登録を特許事務所(弁理士)に依頼した際の費用の相場を教えて下さい。

1件の特許出願にかかる費用は現在1万5,000円であり、今後は1,000円前後の引き下げを行なう予定である。また、特許を維持するため毎年支払う必要がある特許料は3年目まで2,300円、6年目まで7,100円と年を追うごとに上がっていくが、この費用も1割程度の引き下げをする。

商標登録をするための商標登録料は7万5,200円という費用がかかる。また、登録された商標を10年ごとに更新する際には、更新登録料9万7,000円がかかる。これらの費用もほぼ1割程度の引き下げをするというのである。これにより海外進出を検討している中小企業でも特許や商標の取得また維持がしやすくなることが期待されている。

現在、特許出願数の世界第1位は中国で年間82万件にも上る。一方の日本は年間32万件と水をあけられているのが現状であり、さらなる国際競争力の強化が求められている。

例えば、世界的に有名な日本の総合電機メーカーであるパナソニックは、年間約1万件の特許申請を行っているといわれております。特許庁が、特許の出願や維持にかかる費用を1割程度引き下げを決めたことで、パナソニックは年間数千万円の経費の削減が見込めるということになります。

この特許の出願や維持に係る経費削減で生み出した資金は、企業の新たな戦略投資に投入できるわけで、企業の国際競争力の強化につながります。

また、商標権の取得と維持の費用も引き下げられますが、このことも商標に係る経費を削減し、企業の経営体質の強化につながり、間接的に企業の海外進出を支援します。

中国など新興国の最近の経済発展がめざましく、日本企業もうかうかしていると、あっというまに遅れをとるという厳しい国際経済環境の中、このような形で、政府が国際的に競争力のある企業を支援していくことは重要なことだと思います。今回の特許庁の決定が、日本企業の国際競争力の強化に一役買うことが期待されます。