2014年11月10日、日中韓の知的財産を管轄する特許庁長官会合が開催された。日中韓三か国の法令や審査基準の相違点などを分析し、公表することで合意した。
(参照:特許庁、国際的に質の高い意匠・商標審査の強化を推進

合意内容は、特許分野では法令や審査基準などの比較をすることで差異を明らかにすることとした。また、意匠分野では日中韓デザインフォーラムを意匠制度に関する議論の場として 情報交換や意見交換をするとしたのである。さらに、審判分野では日中韓三か国での拒絶査定不服審判手続きについての比較において差異を明らかにしていくとしている。

日韓間ではお互いに貿易で第3位となる相手国であり、対韓投資額は26憶ドル以上に上る関係である。また、日中間では日本からの中国に対する特許出願数が年間4万件を超え、中国国内特許出願数は世界第1位に上る。

この比較研究において差異を明らかにすることで、相互間での手続きを行なうユーザーにとって理解と協力関係を深めることが期待されている。

日中間では、商標だけでなく、特許や意匠に関しても、日本の企業が発明・発見した技術や製品を、中国の企業が無断で利用するという事態が後を絶ちません。これを防ぐには、日本が、中国において特許権や意匠権を取得する以外にはありません。

また、日韓間でも、知的財産権が関係する貿易や投資は非常に活発であります。このような状況下、日本の企業が、中国や韓国で、特許権や意匠権を出願をする機会も多くなります。もちろん、その反対の場合も多くなることも予想できます。

そこで、今回、日中韓三か国の特許庁長官の会合が開かれ、三か国間の法令や審査基準の相違点などを分析し、公表することを決めたことは非常に有益です。それらのデータが公開されれば、各国企業は、他の国で特許や意匠の出願をする際に、大きな障害となる各国間の知的財産権に関する制度の違いに対し、予め対応するできるようになります。

優れた技術を発明しても、相手国での特許出願などで失敗すれば、その発明の努力が水泡に帰すこともありますが、そのようなリスクは、スムーズな知的財産に関する手続きが可能になれば大きく減少します。これに関して、今回の合意が一助となることが期待されます。