「雄勝硯(おがつすずり)」は、雄勝硯生産販売協同組合により2014年9月30日に第16類(宮城県石巻市雄勝町から産出する黒色の粘板岩を使用して作られる硯)で出願、2014年12月11日に地域団体商標として登録されました。
(参照:商標登録の早期審査請求を利用するメリットとデメリットを教えて下さい。

東北地方の特産品としては青森「大間まぐろ」や宮城「仙台牛」などに続いて40件目となる。地域ブランドの保護と振興を促し、地域経済の活性化を目指していくという。

宮城県雄勝地区は2011年の東日本大震災で高さ20メートルにも達する津波の被害を受け、硯職人や施設・工房などの大半を流失した。2012年9月からの出荷再開後も出荷量は震災前の1割にも満たないと言われている。

こうした被害からの早期の回復を願い、今回の地域団体商標の出願は宮城県や石巻市、また日本弁理士会の全面バックアップを得て行なわれた。

また、早期審査請求制度が適用され、通常の2分の1程度の約3ヶ月という期間で認定が下りたのである。「雄勝硯(おがつすずり)」は、600年前の室町時代に端を発するという歴史的な工芸品で、現在でも昔ながらの手作り製法によって丹念に彫りあげられている逸品だ。

雄勝硯(おがつすずり)の関連サイトまとめ

地域団体商標登録の利点は、地名が持つ全国的な知名度を商品等の宣伝に活かせることです。宮城県石巻市の雄勝地区は、日本人であれば誰でも少なくとも1回以上は耳にしたことがある地名だと思います。その雄勝地区の地名に、その地区の特産品である「硯」を合わせて宣伝すれば、「あの東北の雄勝地区は硯が特産品なんだ」と、多くの方はすぐに覚えてくれると思います。

これは、会社名や人名などに「硯」を合わせて宣伝するよりも、はるかに効果的な宣伝方法であると考えられます。また、地域団体商標登録をすることにより、このブランドが他人により盗用されることが防止できますので、安心して、雄勝硯の製造・販売に取り組むことができます。

なお、今回の地域団体商標登録に関しては、ビジネスという観点だけではなく、東日本大震災の復興支援という観点も忘れてはなりません。地域団体商標登録は、地域活性化に非常に役立ちます。今回の「雄勝硯」の登録を機に、震災により甚大な被害を受けたこの地区が、1日も早く以前の賑わいを取り戻すことが希望されます。