2015年1月26日、日米欧中韓での商標データベースである「TM5 IDリスト検索ツール」の運用が開始された。今回のツール運用開始によって、国際的な商標データをユーザーが効率的かつ迅速に検索することが可能となっている。
(参照:特許庁、世界商標データベースに情報提供を開始

この検索ツールは「TM5 IDリスト」という各国共通のIDによりデータベース化されている。これにより、TM5パートナー庁においての予測可能性や決定の一貫性、および法的確実性が確立されることになる。

すべての「ID」が英語での利用ができるとともに、一部IDでは日本語、中国語、韓国 語及び23の全てのEU公用語に翻訳された情報が利用できる仕組みだ。今後すべてのIDでの翻訳を利用できるための作業が進行中という。

`「TM5」とは、日本国特許庁、韓国特許庁、欧州共同体商標意匠庁、中国国家工商行 政管理総局、米国特許商標庁という商標五庁のことだ。商標権の国際的な保護や取り組みのためにパートナーシップを築き、会合を開くと共に共同プロジェクトを推進している。

財務省から最近発表された2014年の国際収支速報では、特許や商標などの知的財産権に関する収支が前年比26.3%増の1兆6,948円の黒字となっています。

最近の日本の貿易収支は、新興国に押されて全般的には低調なのですが、その中で、知的財産権に関する収支は好調で、貿易赤字を補う重要な外貨獲得手段として期待が高まっています。

このことが意味するのは、日本企業の知的財産に関する国際競争力が十分に高いことです。日本企業の高い国際競争力を生かすためにも、国際的に日本企業が活動しやすい環境を整備していくことが非常に重要となってきます。

そのような状況下で、今回、日米欧中韓の5ヶ国の間で共通商標データベースが運用を開始し、この5ヶ国で登録されている商標を、各国のユーザーが効率的に検索ができるようになりました。このことは、商標などの知的財産権に関して比較優位を持つ日本企業にとっては、望ましい変化と言えましょう。

商標権は、ブランドを保障することにより、実際の商品や役務の販売を促進することが最大の目的ですが、商標の使用許諾によるロイヤリティー収入により利益を獲得する目的もあります。

いずれにしても、今回の、「TM5 IDリスト検索 ツール」の運用開始により、日本企業が比較優位を持つ知的財産の分野で、日本企業がより活動し易くなる環境が一層整えられていくことが期待されます。