2021年9月16日、石川県は同県の特産農産物である「ルビーロマン」を商標出願したと発表した。国内外での知的財産権保護を進めていく方針だ。 (参照:石川県立大聖寺実業高校・情報ビジネス科で「温泉ハンドクリーム」を商標登録

日本国内での商標登録を目指すとともに、海外での商標登録を目指して出願中となっている。現在輸出しているシンガポールや香港、台湾に加え、今後輸出が可能となりうる東南アジアや中東、欧米など海外44カ国での商標出願も進めていく。すでに海外では、「ルビーロマン」というブランド名でブドウが栽培・販売されており、韓国では商標登録も行われている。

近年、日本各地の農産物の流出が問題となっており、苗の海外流出が行われないよう対策が講じられてきた。それにもかかわらず、現在ではブドウやイチゴなど36もの類似品種が中国、韓国でインターネット販売されていると農水省は報告している。

「ルビーロマン」は石川県が14年の歳月をかけて開発し、2007年に販売開始した石川県の特産ブドウとなっている。

植物の新品種の保護に関する国際条約では、自国外における果物の品種登録は自国内での登録から一定期間(ブドウは6年間)以内に行うことが定められており、ルビーロマンは、申請期限である2013年までに海外で品種登録をしなかったため、日本国外では日本の許可を得ないで合法的に栽培できる品種となっています。

そのため、これまでは、中国や韓国などでは、この品種が自由に栽培・販売され、あるいは、日本に逆輸入されていたわけですが、今回、日本国内で石川県が「ルビーロマン」の商標登録を行いましたので、少なくとも日本国内では、外国の生産者が石川県の許可なく「ルビーロマン」のブランドを使ってブドウを販売できなくなりました。

石川県では、海外でも、「ルービーロマン」の商標権の取得を進めていますから、海外で商標権が取得できれば、より強力に、このブランドを保護することができます。商標登録には、このように、種苗登録制度を補う働きもあります。