2013年5月29日、ベトナム商標保護・偽造防止協会(Viet Nam Association for Trademark Protection)が、模倣品などの流通が増加している現状に対応し、巧妙化かつ複雑化する模倣品取引の防止に取り組むため、ホーチミン市に新事務所を開設したことが地元紙の報道により明らかになった。(参照:ベトナムの商標制度)

ベトナム商標保護・偽造防止協会、通称「VATAP」は、2004年5月にハノイで正式に発足したNGOであり、各種経済団体や関連当局と連携し、偽造品の摘発や生産・売買の防止、商標の保護を目的に設立された。加盟企業は130社にも上る。

模造品などによる知的財産権侵害は、ベトナム国内で近年大きな問題となっており、ベトナム商工省市場管理局の調べでは今年1~4月の間で調査対象となった商品58,387件のうち、違反していたものは28,383件、実に半数近くにも及ぶという。

対象も食品、化粧品、衣服、電化製品、医薬品など多岐にわたり、日本製品がターゲットとなることも珍しくない。むしろ中国や韓国における日本製品の被害件数が減少する中で、ベトナムはなお増加傾向にある。

背景には中国で大量生産された模造品の密輸などもあり複雑だ。ベトナムから持ち帰ったサンプルを元に中国企業が粗悪品を大量に作り、ベトナム市場で売りさばくのだという。政府は模造防止シールを発行するなど対処しているが、それすら模造されるなど事態は深刻だ。

ベトナムで商標権侵害が多発しているのですね。インドタイマレーシアなどの発展途上国でもそうですが。

これに関しては仕方が無い部分もあると思います。発展途上の段階で知的財産権の保護を強化しすぎると、経済成長が遅くなるおそれがありますし、知的財産権の保護に関しては、ある程度経済が成熟してから強化されるのが一般的です。事実、先進国と発展途上国との間で知的財産権に関して話し合いがもたれると、発展途上国としては基本的な知的財産権の殆どを先進国が持っている状況で知的財産権保護を強化するのを嫌がります。保護を強化するなら技術支援や金銭的援助を拡大するように求めます。

さて、新事務所をホーチミンで開設とのことですが、侵害と侵害予防はイタチごっこで、一部の商標権を侵害している商品を差し押さえても次々と侵害品が出回るものです。侵害行為は褒められたものではありませんが、法律違反であってもビジネスの流れに乗りたいと思うのも仕方が無いところがあります。新事務所を開設してどれほど効果が上がるのか見物ですね。