2020年11月11日、松山商工会議所は「野球拳おどり」を特許庁に商標出願した。名称が勝手に使われブランドイメージを下げることを防ぎたいとしている。 (参照:特許庁、愛媛県産「宇和島鯛めし」を地域団体商標に登録査定

出願者は松山市ならびに松山商工会議所となっている。「野球拳おどり」は愛媛県松山市で親しまれている祭りの踊りである。夏に開催される「松山まつり」において、野球選手の格好をした演者が踊ることで有名だ。「松山まつり」は1966年から、「野球拳おどり」は1970年から続く伝統芸能となっている。

この「野球拳おどり」は、大正時代から松山市で親しまれてきた伝統ある芸能が元となっている。お座敷で芸者が客と共にじゃんけんをしながら行うお座敷芸からきており、自治体や地元の商工会議所としても、独特な名物を知的財産として保護したい考えだ。

この踊りが披露される「松山まつり」の実行委員会のメンバーでもある松山市と松山商工会議所が、ブランド保護に立ち上がったかたちとなっている。今回、「野球拳おどり」と共に「松山まつり」も商標として出願された。

「野球拳踊り」とは、歌い踊りながらじゃんけんをする宴会芸・郷土芸能で、本来は、テレビのバラエティ番組などで放送されているよう「野球拳」のイメージ、すなわち、じゃんけんで負けた相手の服を脱がせるゲームとは無関係な、もっと健全なものです。しかし、テレビの影響力は大きく、誤った「野球拳」のイメージの方が、広く社会に浸透してしまっているのが現状です。

「野球拳おどり」が商標登録された場合、商標権者は、第三者が勝手にこのブランドを使用すれば、それに対して法的な制裁措置が取れるようになります。野球拳は、社会全体に誤ったイメージが定着していますから、第三者の悪意ある模倣によってブランドイメージが損なわれる危険性が非常に大きいです。商標登録がされていれば、こういったリスクは大きく減ります。

そういった意味で、商標登録は、「野球拳踊り」から、巷に広がった誤ったイメージを取り除くための最初の一歩ということができます。