2019年5月16日、山形県はサクランボ新品種「やまがた紅王」を商標出願した。2023年より本格的に販売を開始し、世界をまたにかける品種として展開する予定だ。 (参照:佐野氏ロゴマーク、山形県産ブランド米「つや姫」ロゴは「問題なし」

「やまがた紅王」は山形県が研究開発に成功した新品種の大型サクランボである。品種名は2018年6月から7月にかけて公募し、最も多かった「紅王」の前に産地名の「やまがた」をつけた形だ。

「やまがた紅王」は直径が五百円玉より大きい3センチ前後に育つ大型の品種であり、サクランボの3Lから4Lに当たるサイズとなっている。糖度も20度以上と佐藤錦に並ぶ甘い品種で、大きな期待がかかっている。

「紅秀峰」の木に、「レーニア」と「紅さやか」の交配種を受粉させて県が開発した「山形C12号」をブランド化した。2018年には苗木を県内の農家に配布、2022年に初出荷、2023年から本格展開する予定だ。

2019年には、青森県が五百円玉より大きい新品種のサクランボ「ジュノハート」を販売開始する。「やまがた紅王」も競合品種としてそれに続くこととなる。

「やまがた」という地名を使ったブランドといった場合、地域団体商標のことがすぐに思い浮かべられます。地域団体商標は、地域特産物にブランド(例えば、「東京りんご」など)を付けて生産・販売する場合に、他人がそのブランドを勝手に使用することを防ぐという目的のために創設された制度です。

普通の商標では、地域名(東京)と商品名(りんご)を合わせただけの単純なネーミングは出願しても登録できません。一方、地域団体商標の場合には、一定の要件をクリアすれば、そういった単純なネーミングでも、登録することができます。

「やまがた紅王」のネーミングが、仮に「やまがたさくらんぼ」だったとしたら、地域団体商標登録では登録できても、商標登録の方は拒絶査定となっているでしょう。「紅王」は、その商品の原材料を普通に用いられる方法で表示する標章(商標法3条3項)に該当しないので、登録の運びとなりました。