2018年12月21日、ファッション通販のZOZOは同社代表取締役社長の氏名である「前澤友作」を商標出願した。今回の出願の理由は明らかにされていないが、普段からマスコミ出演回数の多い同社長の発言力強化を狙っている可能性がある。(参照:他人の芸能人の芸名、他人のペンネーム、歴史上の人物の名称、個人の人名等は商標登録できますか?

今回の商標出願では、同時に「yusakumaezawa」「maezawayusaku」および「ZOZOARIGATO」も出願した。商品役務分類では、衣類商品の取り扱い、マーケティング支援、マーケティング情報の提供、インターネット販売促進・提供促進のための企画およびその実行の代理が指定されている。

ZOZOは1995年に創業したインターネットを活用したアパレルメーカーである。インターネットサイト「ZOZOTOWN」でフルオーダースーツを注文できると注目を浴びたアプリの活用により、店舗来店せずにフルオーダースーツの採寸やオーダーができることで、多くの需要を掘り起こしたイノベーターとして有名だ。

前澤社長も宇宙旅行の予約や一億円プレゼントなど話題を振りまき、発信力を高めている。

商標法第3条では、ありふれた氏又は名称を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標は、登録することができないと規定しています。また同法第4条第8項では、他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名もしくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標は、登録することができないと規定しています。

「前澤友作」という標章は、「鈴木」や「佐藤」などと比べれば珍しい氏名なので、商標法第3条には引っかからない可能性が高く、また、他人ではなく「前澤友作」氏本人の申請なので、同法第4条8項にも引っかかりません。従って、商標登録が承認される蓋然性が高いわけですが、人の氏名そのままの商標というと何となく違和感があります。

ZOZOの前澤友作氏は何かと話題性のある方なので、その違和感を逆にアピールポイントにした効果的な宣伝効果を狙っての今回の出願かもしれません。