JAいちかわが発表したところによると、「船橋にんじん」が地域団体商標の認可を受けた。
(参照:「神戸シューズ」が地域団体商標登録。阪神大震災からおよそ18年を経て復活へ

「船橋にんじん」の歴史は古く、戦後の進駐軍への食糧供給のために生産されたのがその始まりとなっている。その後、地域の先進的な農家による努力によって品質と収量の向上が図られ、今では「船橋にんじん」は地域の特産品として年間約600万本の出荷が行なわれている。船橋市内のほぼ全域で生産されており、千葉県においても春夏ニンジンの品質・収量ともにトップクラスを誇るものだ。

地域団体商標とは、特許庁が制定している登録制度である。地域の特産品を差別化することで浸透させる地域ブランド作りの一環だ。この制度にはすでに550件以上もの登録がされている。その中でも、ニンジンが地域団体商標に登録されるのは、全国でも初めてのことである。

「船橋にんじん」は食べた時の甘みが強いというのが特徴で、サラダその他の生食に適しているという。これは、完熟たい肥や有機配合肥料を用いた土づくりの成果の結果だ。全国的に見ても高度な生産技術を駆使した栽培方法であるとともに、生産農家全員がエコファーマー認定を受けるという積極的な取り組みがみられている。

JAいちかわ関連サイトまとめ

「船橋にんじん」という名称で販売する場合、当然、ブランドのないニンジンと比較して価格が高くなると思います。

そうなると、船橋の農家以外の生産者がそのブランド名を使用して、よそのニンジンを船橋のブランドで販売することが予想されます。

あちこちの産地のニンジンが船橋ブランドで出回ると、消費者のブランドイメージが崩れ、長年の船橋の農家の品種改良の努力が無駄になることもあります。

そんなに生産量が多くない場合には、ブランドの盗用の可能性も少ないと考えられますが、生産量の増大にともない広範囲の消費者に認知されるようになり、ブランドによる販売価格の上昇や販売数量の増大が認められるようになると、盗用される可能性が急に高まります。

それを予防・禁止するために、このタイミングでの地域団体商標の登録は適切だったと思います。

それだけでなく、地域団体商標登録により「船橋ニンジン」が新聞などを通して全国の消費者に宣伝されますから、この登録で「船橋ニンジン」の販売量が伸びて、地元の産業の発展に貢献することが期待されます。