2014年7月17日、知的財産高裁において、シャープ『IGZO』商標無効の取り消しを求めた口頭弁論が行なわれた。この問題は、科学技術振興機構(JST)とシャープの間で争われているもので、商標登録をめぐる問題となっている。
(参照:米NFL「レッドスキンズ」は蔑称だと商標取り消し

シャープは、科学技術振興機構(JST)が持つ『IGZO』の特許技術に関してライセンス契約を結び、世界で初めて量産化に成功。

商品の製造販売をするとともに『IGZO』をブランドとしても使用し、2011年11月に商標登録した。ところが、JST側は『IGZO』という名称は原材料名であり商標登録はできないと審判の申し立てを行ない、2014年3月に特許庁は商標登録無効審決を下した。

特許庁の審決によると、『IGZO』は本来インジウム(In)・ガリウム(Ga)・亜鉛(Zn)・酸素(O)から成る酸化物半導体の略称として使われているもので商標登録はできないとしている。

これに対して、シャープは特許庁の審決を不服として審決取り消しを求める訴訟を起こしていた。シャープ側は、「『IGZO』の技術を使って商品を量産・販売しているのは当社だけで、宣伝・販促活動の結果、イメージが定着している。当社の商標として認識されることは合理的な理由がある」と主張した。

商標法第3条では、その商品の原材料を普通に用いられる標章のみからなる商標は登録できないと規定されております。

確かに、『IGZO』はインジウム(In)・ガリウム(Ga)・亜鉛(Zn)・酸素(O)から成る酸化物半導体の略称として使われています。そして、原材料の表示をしているのも事実だと思います。そうなると、標準文字商標に関しては、やはり無効となるのは仕方がない気がします。

ロゴ商標はシャープが抑えていますし、こちらに問題は生じないため、シャープとしては今まで通り商標を使用することはできますので、文字商標に関しては断念せざるを得ないのではないかと個人的には感じます。

『IGZO』の標準文字が液晶などの分野で使えなくなると、商品説明が大変になるため、登録商標を理由に技術の独占を招くことになり、商標法の法目的に反する可能性があるからです。

いずれにしても、裁判所の判断を待ちたいと思います。