宇治抹茶をベースとしたスイーツで有名な「茶寮都路里(さりょうつじり)」(京都市)と、宇治茶を販売する京都の老舗2社の社名とロゴマークが、これらの会社と無関係に、台湾の当局に商標登録申請されていることが明らかになった。
(参照:神戸「南京町」の商標をめぐる訴訟で南京町商店振興組合側が敗訴

社名・ロゴを無断で商標登録申請されているのは、「茶寮都路里」の他、宇治茶を扱う「中村藤吉本店」(京都府宇治市)、「丸久小山園(まるきゅうこやまえん)」(京都府宇治市)。

「茶寮都路里」は、宇治茶販売の「祇園辻利」が始めた喫茶で、「祇園辻利」の創業は1860年。「中村藤吉本店」は1854年、「丸久小山園」に至っては元禄年間(1600~1700年代)の創業と、いずれも老舗中の老舗である。

問題の申請は、昨年7月に台湾・高雄市の個人が行ったものだという。効力の範囲は、「飲食店」とされている。去る3月、「茶寮都路里」などの3社は、これについて台湾当局に上申書を提出。当該登録を認めないように求めているという。

「茶寮都路里」「中村藤吉本店」「丸久小山園」という漢字の組合せの複雑さ、及び、三つの名称が同一人物による出願であることを考えると、台湾で同一商標を出願した出願人が自分でそれらを考案して偶然に出願された可能性は低く、日本で登録されている商標を勝手に流用して台湾で出願したものと考えられます。

このような場合、出願商標が台湾での出願当時、日本の商標として既に有名であったこと、又は、台湾の出願人が日本で既に商標登録されている商標であることを知っておきながら出願したこと、このどちらかを証明できれば台湾での商標を取り消すことができます。

今回の件では、後者の証明をすることが必要になると思われますが、登録後ではなく登録出願中の素早い対応なので、その証明も比較的容易であると考えられます。

台湾の当局が、日本の商標権者に有利な判断をすることが期待できます。