2014年11月28日、神奈川県は「未病(みびょう)」の概念普及とブランド化のため、商標登録したブランド「ME-BYO」の使用許諾制度をスタートさせたことを発表した。
(参照:商標を出願してから登録までの期間はどれくらいですか?

神奈川県は健康寿命日本一を目指しており、そのための取り組みとして 2014年1月に「未病を治すかながわ宣言」を発表するとともに、6月には商標申請 していた「ME-BYO」が認められ登録、8月には「未病産業研究会」を発足させるなど取り組みを進めてきた。

「ME-BYO」ブランドを使用できるのは、未病の概念を普及させるという目的に限られている。展示会などで使用するブースやパネル、ポスター、ホームページといったものに表示することができるが、商品名やサービス名に使用することは認められていないという。

未病とは、健康と病気の間で連続的に変化しながら病気に向かう状態を指している。健康と病気、といった2つの明確に分けられる概念として捉えるのではなく、心身の状態は健康と病気の間を連続的に変化するものだとの見方をするという考え方となっている。

商標登録は、一般的には、商品を販売するにあたり、その商品の製造元を表示する機能と、その商品を他の商品と識別する機能を有する標章を、第三者の模倣から、保護するために行います。ですから、原則的には、商品の販売などのビジネスに結びつくことがほとんどです。

しかし、今回の神奈川県の「ME-BYO」の商標登録とその使用許諾制度創設は、ビジネスとは結びつかないで、健康に関する特定の概念の普及という公益的な目的で、商標登録が行われることがあるということを例示しています。

商標登録が行われますと、そのニュースは全国に報道されますので、知名度が著しく向上します。また、話題性が増し、PR活動が行い易くなるというメリットもあります。さらに、商標登録によりその商標の登録を行った集団の活動が活性化されます。

商標登録というと、ブランド力の保持による売上の増加といったような、ビジネスに関する側面のみが注目される傾向がありますが、このように、ビジネスとは全く関係ない分野でも、商標登録が持つ効用に着目して、その力を利用する場合があるということを、このニュースから読み取ることができます。